飼い主さま向け情報
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犬と猫の皮膚病ガイド|アレルギー性皮膚炎・外耳炎のサインと最新治療
1. アレルギー性皮膚炎|しつこい痒みの根本原因
アレルギー性皮膚炎は、特定の物質(アレルゲン)に対して免疫系が過剰に反応し、皮膚に強いかゆみや炎症を引き起こす病気です。犬で非常に多く見られますが、猫にも存在します。
主なアレルギーの種類と原因
環境中のアレルゲンが原因。遺伝的素因が強く、柴犬・フレンチブルドッグ・ゴールデンレトリーバーなどで好発。若齢で発症し、生涯付き合っていくことが多い。
頭部・首の痒み(頭頸部掻痒)、粟粒性皮膚炎、好酸球性肉芽腫複合体など多彩な症状を示す。
年齢に関係なく発症。皮膚症状に加え、下痢・嘔吐などの消化器症状を伴うこともある。
ノミの寄生が原因。特に腰から尾にかけての強いかゆみ・脱毛・発疹が特徴的。室内飼いでも注意が必要。
見逃してはいけない症状
- 体を頻繁に掻く、舐める、噛む
- 皮膚の赤み、ブツブツ、脱毛
- 顔・耳・足先・お腹・脇の下などを特に痒がる
- (猫)過剰なグルーミング、粟粒状のブツブツ、舐め壊してできる潰瘍(好酸球性プラーク)
- 慢性化すると皮膚が厚くゴワゴワになり、黒ずむ(色素沈着)
2. 外耳炎|耳のトラブルは皮膚病のサインかも
外耳炎は、耳の穴から鼓膜までの「外耳道」に炎症が起こる病気です。外耳道も皮膚の一部であり、アレルギー性皮膚炎に併発して起こることが非常に多いのが特徴です。繰り返す外耳炎の背景には、アレルギーが潜んでいることがほとんどです。
外耳炎の主な原因
| 原因 | 詳細 |
|---|---|
| アレルギー | アトピー性皮膚炎や食物アレルギーにより、耳の皮膚も炎症を起こしやすくなる。繰り返す外耳炎の最大の原因。 |
| 耳ダニ(ミミヒゼンダニ) | 特に子犬・子猫に多い。黒く乾燥した大量の耳垢と激しいかゆみが特徴。 |
| 細菌・マラセチア | マラセチア(酵母様真菌)やブドウ球菌など。アレルギーや湿気で耳の環境が悪化すると異常増殖する。 |
| 耳の構造・環境 | 垂れ耳(コッカー・スパニエルなど)や耳道に毛が多い犬種(トイ・プードルなど)は通気が悪く多湿になりやすい。 |
| その他 | 異物(植物の種など)、腫瘍、不適切な耳掃除による傷など。 |
見逃してはいけない症状
- 頻繁に頭を振る、耳を傾ける
- 後ろ足で耳をしきりに掻く、床や家具にこすりつける
- 耳から嫌な臭いがする
- 耳垢の量が異常に増える(黒・茶色・黄色など)
- 耳の入り口が赤い、腫れている
- 耳を触られるのを嫌がる、痛がる
今すぐ病院へ!危険なサイン
皮膚病を悪化させるNG行動
- 人間用の薬(ステロイドクリームなど)を勝手に使う
- 綿棒で耳の奥まで掃除する
- 症状が少し良くなったら薬をやめる
- インターネットの情報だけで自己判断する
3. 動物病院での診断と最新治療
正確な診断が、効果的な治療への第一歩です。問診・視診に加え、以下のような検査を行います。
| 検査 | 内容 |
|---|---|
| 皮膚科学的検査 | 抜毛検査・掻爬検査・スタンプ検査などで細菌や寄生虫の有無を確認 |
| 耳鏡検査 | 耳鏡(オトスコープ)で耳の奥深く(鼓膜まで)を観察。炎症の程度や異物の有無を確認 |
| 耳垢検査 | 耳垢を顕微鏡で観察し、細菌・マラセチア・耳ダニなどを特定 |
| 除去食試験 | 食物アレルギーが疑われる場合、原因タンパク質を含まないフードを一定期間与え症状の改善を見る最も確実な診断法 |
最新の治療戦略|治療の4本柱
分子標的薬(JAK阻害薬)・抗体医薬 最新知見
かゆみの原因となるヤヌスキナーゼ(JAK)シグナルをピンポイントで阻害する新世代薬。オクラシチニブ(アポキル)はJAK1/JAK3阻害薬として広く使用される標準治療。イルノシチニブ(ゼンレリア)はJAK1・JAK2・TYK2を阻害し、2024年10月に承認された新薬で、アトピー性皮膚炎に伴う症状およびアレルギー性皮膚炎に伴う掻痒の緩和に有効。また、IL-31を中和する月1回の注射薬ロキベトマブ(サイトポイント)も選択肢のひとつ。
シャンプー療法・保湿ケア
皮膚の状態に合わせた薬用シャンプーでアレルゲンや余分な皮脂・細菌を洗い流し、保湿成分で皮膚のバリア機能を補う。定期的なシャンプーは薬物療法と並行して行うことで効果を高める。
耳洗浄・点耳薬
動物病院での専門的な耳洗浄と、原因に合わせた抗菌薬・抗真菌薬・抗炎症薬の点耳薬で外耳炎を根本治療。自己流の耳掃除は悪化の原因になるため、必ず獣医師の指導のもとで行う。
食事療法・環境整備
除去食・皮膚サポート療法食で食物アレルギーを管理。こまめな清掃によるハウスダスト除去と定期的なノミ・ダニ予防も並行して行う。
犬と猫の皮膚病の違い
4. 飼い主様ができる予防とホームケア
皮膚病は、日頃のケアで発症リスクを下げ、症状をコントロールすることが可能です。
定期的なノミ・ダニ予防
ノミアレルギーは予防薬で確実に防げます。室内飼いでも油断は禁物です。月1回の予防薬を継続しましょう。
適切なスキンケア
獣医師の指導のもと、その子の皮膚に合ったシャンプーや保湿剤で皮膚の清潔と潤いを保ちましょう。
正しい耳のケア
健康な耳は頻繁な掃除は不要です。ケアが必要な場合も、見える範囲の汚れを専用イヤークリーナーで優しく拭う程度に。綿棒を奥に入れるのは絶対にやめましょう。
バランスの取れた食事
皮膚の健康を維持する栄養素(オメガ3・6脂肪酸など)を含む質の良いフードを選びましょう。
定期的な健康診断
年2回の健康診断で早期発見・早期治療を。快適な生活環境を整え、愛犬・愛猫の免疫力を維持しましょう。
まとめ
犬と猫の皮膚病、特にアレルギー性皮膚炎や外耳炎は慢性化しやすい病気ですが、正確な診断と適切な治療・ケアを根気よく続けることで、症状をコントロールし、ペットのQOLを大きく改善することができます。
「かゆみ」は動物にとって大きなストレスです。愛犬・愛猫の小さなサインに気づいたら、お早めにご相談ください。
参考文献
- アポロどうぶつ病院.(2024).【獣医師が解説】犬のアレルギー性皮膚炎の原因・症状・治療法.
- クッキー動物病院.(2025). 犬猫の外耳炎:臭い・かゆみの原因と治療法、繰り返さないためのケア.
- KINS WITH 動物病院.(2024).【猫の皮膚病】種類と原因、治療について.

