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犬と猫の皮膚病ガイド|アレルギー性皮膚炎・外耳炎のサインと最新治療

犬と猫の皮膚病ガイド
アレルギー性皮膚炎・外耳炎

かゆみ・赤み・脱毛・耳の臭い…そのサインを見逃さないで

一二三ペットクリニック 獣医師監修|最終更新:2025年3月

⚠ 皮膚から血・膿が出ている、耳を触ると激しく痛がる、頭が傾いたまま戻らない場合は今すぐ受診してください。 → 今すぐ予約する
「最近、愛犬が体をよく掻いている」「愛猫の耳が臭う」…こうした症状は、犬や猫に非常によく見られる皮膚病のサインかもしれません。皮膚は体を守る最大の臓器であり、その健康はペットの快適な生活に直結します。特に「アレルギー性皮膚炎」と、それに関連して起こりやすい「外耳炎」は、多くの飼い主様が直面する悩みです。この記事では、原因・症状・最新治療・予防まで獣医師が詳しく解説します。

1. アレルギー性皮膚炎|しつこい痒みの根本原因

アレルギー性皮膚炎は、特定の物質(アレルゲン)に対して免疫系が過剰に反応し、皮膚に強いかゆみや炎症を引き起こす病気です。犬で非常に多く見られますが、猫にも存在します。

主なアレルギーの種類と原因

犬アトピー性皮膚炎
アレルゲン:ハウスダストマイト、花粉、カビなど
環境中のアレルゲンが原因。遺伝的素因が強く、柴犬・フレンチブルドッグ・ゴールデンレトリーバーなどで好発。若齢で発症し、生涯付き合っていくことが多い。
猫アトピー性皮膚症候群(FASS)
アレルゲン:ハウスダストマイト、花粉など
頭部・首の痒み(頭頸部掻痒)、粟粒性皮膚炎、好酸球性肉芽腫複合体など多彩な症状を示す。
食物アレルギー
アレルゲン:牛肉、鶏肉、乳製品など
年齢に関係なく発症。皮膚症状に加え、下痢・嘔吐などの消化器症状を伴うこともある。
ノミアレルギー性皮膚炎
アレルゲン:ノミの唾液
ノミの寄生が原因。特に腰から尾にかけての強いかゆみ・脱毛・発疹が特徴的。室内飼いでも注意が必要。

見逃してはいけない症状

  • 体を頻繁に掻く、舐める、噛む
  • 皮膚の赤み、ブツブツ、脱毛
  • 顔・耳・足先・お腹・脇の下などを特に痒がる
  • (猫)過剰なグルーミング、粟粒状のブツブツ、舐め壊してできる潰瘍(好酸球性プラーク)
  • 慢性化すると皮膚が厚くゴワゴワになり、黒ずむ(色素沈着)

2. 外耳炎|耳のトラブルは皮膚病のサインかも

外耳炎は、耳の穴から鼓膜までの「外耳道」に炎症が起こる病気です。外耳道も皮膚の一部であり、アレルギー性皮膚炎に併発して起こることが非常に多いのが特徴です。繰り返す外耳炎の背景には、アレルギーが潜んでいることがほとんどです。

外耳炎の主な原因

原因詳細
アレルギー アトピー性皮膚炎や食物アレルギーにより、耳の皮膚も炎症を起こしやすくなる。繰り返す外耳炎の最大の原因
耳ダニ(ミミヒゼンダニ) 特に子犬・子猫に多い。黒く乾燥した大量の耳垢と激しいかゆみが特徴。
細菌・マラセチア マラセチア(酵母様真菌)やブドウ球菌など。アレルギーや湿気で耳の環境が悪化すると異常増殖する。
耳の構造・環境 垂れ耳(コッカー・スパニエルなど)や耳道に毛が多い犬種(トイ・プードルなど)は通気が悪く多湿になりやすい。
その他 異物(植物の種など)、腫瘍、不適切な耳掃除による傷など。

見逃してはいけない症状

  • 頻繁に頭を振る、耳を傾ける
  • 後ろ足で耳をしきりに掻く、床や家具にこすりつける
  • 耳から嫌な臭いがする
  • 耳垢の量が異常に増える(黒・茶色・黄色など)
  • 耳の入り口が赤い、腫れている
  • 耳を触られるのを嫌がる、痛がる

今すぐ病院へ!危険なサイン

皮膚から血・膿が出ている 二次感染(膿皮症)の可能性。放置で悪化します。
急激な脱毛・広範囲の赤み 重篤なアレルギー反応・免疫疾患の可能性
耳を触ると激しく痛がる・鳴く 中耳炎・内耳炎への進行の可能性
頭が傾いたまま戻らない(斜頸) 内耳炎・前庭疾患の可能性。神経症状に注意。
ぐったりしている・食欲がない 全身状態の悪化・敗血症の可能性
市販薬を使っても改善しない 原因の特定と適切な治療が必要です

皮膚病を悪化させるNG行動

  • 人間用の薬(ステロイドクリームなど)を勝手に使う
  • 綿棒で耳の奥まで掃除する
  • 症状が少し良くなったら薬をやめる
  • インターネットの情報だけで自己判断する

3. 動物病院での診断と最新治療

正確な診断が、効果的な治療への第一歩です。問診・視診に加え、以下のような検査を行います。

検査内容
皮膚科学的検査 抜毛検査・掻爬検査・スタンプ検査などで細菌や寄生虫の有無を確認
耳鏡検査 耳鏡(オトスコープ)で耳の奥深く(鼓膜まで)を観察。炎症の程度や異物の有無を確認
耳垢検査 耳垢を顕微鏡で観察し、細菌・マラセチア・耳ダニなどを特定
除去食試験 食物アレルギーが疑われる場合、原因タンパク質を含まないフードを一定期間与え症状の改善を見る最も確実な診断法

最新の治療戦略|治療の4本柱

1

分子標的薬(JAK阻害薬)・抗体医薬 最新知見

かゆみの原因となるヤヌスキナーゼ(JAK)シグナルをピンポイントで阻害する新世代薬。オクラシチニブ(アポキル)はJAK1/JAK3阻害薬として広く使用される標準治療。イルノシチニブ(ゼンレリア)はJAK1・JAK2・TYK2を阻害し、2024年10月に承認された新薬で、アトピー性皮膚炎に伴う症状およびアレルギー性皮膚炎に伴う掻痒の緩和に有効。また、IL-31を中和する月1回の注射薬ロキベトマブ(サイトポイント)も選択肢のひとつ。

2

シャンプー療法・保湿ケア

皮膚の状態に合わせた薬用シャンプーでアレルゲンや余分な皮脂・細菌を洗い流し、保湿成分で皮膚のバリア機能を補う。定期的なシャンプーは薬物療法と並行して行うことで効果を高める。

3

耳洗浄・点耳薬

動物病院での専門的な耳洗浄と、原因に合わせた抗菌薬・抗真菌薬・抗炎症薬の点耳薬で外耳炎を根本治療。自己流の耳掃除は悪化の原因になるため、必ず獣医師の指導のもとで行う。

4

食事療法・環境整備

除去食・皮膚サポート療法食で食物アレルギーを管理。こまめな清掃によるハウスダスト除去と定期的なノミ・ダニ予防も並行して行う。

犬と猫の皮膚病の違い

犬の皮膚病
好発犬種 柴犬・フレンチブルドッグ・ゴールデンレトリーバー・シーズーなど
主な症状 足先・耳・お腹・脇の下の痒み、赤み、脱毛。慢性化で皮膚の黒ずみ
注意疾患 犬アトピー性皮膚炎・ノミアレルギー・膿皮症(二次感染)
最新治療 アポキル・ゼンレリア・サイトポイント・免疫療法
猫の皮膚病
好発品種 スコティッシュフォールド・ペルシャ・ヒマラヤン・長毛種全般
主な症状 頭・首周りの痒み、粟粒状皮膚炎、好酸球性肉芽腫複合体
注意疾患 猫アトピー性皮膚症候群・疥癬・皮膚糸状菌症・蚊刺咬性過敏症
治療の特徴 犬用薬が使えないものも。ステロイド・シクロスポリン・食事療法が重要

4. 飼い主様ができる予防とホームケア

皮膚病は、日頃のケアで発症リスクを下げ、症状をコントロールすることが可能です。

1

定期的なノミ・ダニ予防

ノミアレルギーは予防薬で確実に防げます。室内飼いでも油断は禁物です。月1回の予防薬を継続しましょう。

2

適切なスキンケア

獣医師の指導のもと、その子の皮膚に合ったシャンプーや保湿剤で皮膚の清潔と潤いを保ちましょう。

3

正しい耳のケア

健康な耳は頻繁な掃除は不要です。ケアが必要な場合も、見える範囲の汚れを専用イヤークリーナーで優しく拭う程度に。綿棒を奥に入れるのは絶対にやめましょう。

4

バランスの取れた食事

皮膚の健康を維持する栄養素(オメガ3・6脂肪酸など)を含む質の良いフードを選びましょう。

5

定期的な健康診断

年2回の健康診断で早期発見・早期治療を。快適な生活環境を整え、愛犬・愛猫の免疫力を維持しましょう。

まとめ

犬と猫の皮膚病、特にアレルギー性皮膚炎や外耳炎は慢性化しやすい病気ですが、正確な診断と適切な治療・ケアを根気よく続けることで、症状をコントロールし、ペットのQOLを大きく改善することができます。
「かゆみ」は動物にとって大きなストレスです。愛犬・愛猫の小さなサインに気づいたら、お早めにご相談ください。

参考文献

  1. アポロどうぶつ病院.(2024).【獣医師が解説】犬のアレルギー性皮膚炎の原因・症状・治療法.
  2. クッキー動物病院.(2025). 犬猫の外耳炎:臭い・かゆみの原因と治療法、繰り返さないためのケア.
  3. KINS WITH 動物病院.(2024).【猫の皮膚病】種類と原因、治療について.
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